ザ・シークレットの真実

2012/08/10

ザ・シークレットの真実:カレン・ケリー

The Secret of ‘The Secret’: Unlocking the Mysteries of the Runaway Bestseller
By  Karen Kelly

「ザ・シークレットの真実」 は、ザ・シークレットへの批判本もしくは信憑性への疑問を呈した本。

著者は決して引き寄せの法則を全否定しているわけではなく、結構真剣に検証しているが、商業ベースでの映画である”ザ・シークレット”に対して、バイアスが掛かっているということについては厳しく批判している。特に、”ザ・シークレット”でかなり強調されている、量子力学と引き寄せの法則との関係については、実際の出演者のコメントも載せながら、否定。

また、良く疑問に出てくる、「何故、”ザ・シークレット”には、クレメント・ストーンにふれているのに、ナポレオン・ヒル(”思考は現実化する”の著者)にふれられていないのだろう」という疑問などについても言及している。その中で「ナポレオン・ヒルはアンドリュー・カーネギーには会っていないのではないか」というような疑問も投げかけている。

ただ、結論としては、中立の立場というよりも、基本的にはザ・シークレットに対して否定的な著者の考え方が反映されており、少々結論が強引なきらいもあった。初めは中立のように見せかけて、所々でかなり批判しているようなイメージ。しかし、ジャーナリストであることから、調査や参考文献などはしっかりしてので、頭から否定せずに読んでみると、引き寄せの法則への理解がより深まるかもしれない。穿った見方をすれば、著者のカレン・ケリーは、ザ・シークレットに対する批判の立ち位置を意図的に取ることにより、そこでプレゼンスを発揮するということもかもしれない。
実際、ザ・シークレットの日本語版wikiでは、本書が参照本として取り上げられている。


出版元のPHPのホームページの解説より

世界中で大ベストセラーとなっている『ザ・シークレット』。果たしてアインシュタイン、ベートーベン、シェイクスピアなどの偉人たちは、本当に「秘密」を手にしていたのか? また、実際に宇宙とつながっているかの如く思考を携えていたのか?

本書では、著者ロンダ・バーンの素顔、『ザ・シークレット』登場者の実像、半生に膨大な資料ならびに関係者の証言を元に、気鋭のジャーナリストが迫る。

本書の内容例を挙げると、◎経済的危機から「引き寄せの法則」実践者にインタビューを始めたロンダ・バーン ◎実践者とのあいだの確執 ◎美と愛の力を信じたベートーベン ◎マイナス思考で富を築いたエジソン ◎科学を信じたアインシュタイン ◎カーネギーの利益を生む法則等々

本書の主題は、「楽しくやりがいあることに対して行動を起こさなければ、宇宙と同調したり、プラス思考で想いを馳せるだけでは何も達成されない」、ということである。

真の幸福を得たい人は必読の一冊。

目次とメモ

序章 『ザ・シークレット』への旅

『ザ・シークレット』のテーマは「引き寄せの法則」。心が望むものについてプラスに考えるだけで、どんな目標も達成でき、なんでも手に入り、完璧に健康な体を手に入れられる、というもの。

『ザ・シークレット』が、何故これほど関心を集めるのか、その疑問に対する答えがこの本である。

どうしてこれほどの爆発的なヒットになったか、その特徴や欠点は何か、その由来となったものは何か、ロンダ・バーンが秘密を実践したとする人々の実像はどうだったのかを丹念に調べた。

ベートベン、シェイクスピア、エジソン、カーネギーといった人物たちは、本人も知らないうちに「引き寄せの法則」を実践したと、ロンダ・バーンは主張しているが、そうした人物たちの考え方、信念、信仰などといった観点から、「引き寄せの法則」が彼らの人生にどう作用したのか/しなかったのかを探った。

第1部 なぜ今『ザ・シークレット』なのか?

内容が素晴らしく、人目を引きやすいなどの巧みなマーケティングの他、インターネット・マーケティングや口コミなど異色な点やタイミングの良さなどが挙げられる。

しかし、この本が売れ続けているという事実は、他にはない何かがあると考えられる。

第Ⅰ章 どん底から頂点へ-ロンダ・バーン
    『ザ・シークレット』はどのようにして広まったか

『ザ・シークレット』のDVDは画期的であった。DVDが無ければ、ここまで世間の注目を集めることはなかった。DVDの人気があったからこそ、本が生まれた。

「引き寄せの法則」は、斬新な概念ではなく、プラス思考、心理学、信仰、意志の力などを語る際に、必ず登場してきた。

公式ウェブサイトによると、ウォレス・ワトルズ著の"富を「引き寄せる」科学的法則"から最初の着想を得たとなっている。しかし、2004年にオーストラリアで公開されたドキュメンタリー映画"What the Bleep Do We Know? "(私たちはいったい何を知っているというの?)から何らかの影響を受けたと考えている人もいる。

出演者の中で特筆すべきは、当代随一の「引き寄せの法則」の権威であるジェリー&エスター・ヒックス夫妻(及び聖霊であるエイブラハム)であるが、何らかの原因でロンダ・バーンとの交渉が決裂し、DVD第一弾から痕跡が完全に消去され、再編集DVDがその後発売された。

DVDのために精力的なキャンペーンを行い、それを本の興味につなげるというマーケティングが当たった。さらに、DVDの出演者たちが、自分のファンにDVDを宣伝し、さらに口コミであっという間に広まった。その後、マスコミの目に留まり、ベストセラーとなった。

その後、ザ・シークレットは「引き寄せの法則」を使う方法と理由を、十分に掘り下げていないなどの批判にさらされるが、こうした議論がさらにDVDや本を売れさせることになった。

第Ⅱ章 幸福を手に入れる方法

「ザ・シークレット」は、アメリカではごく初期の時代から形を変えて存在し続けてきた「幸福追求運動」である。

18世紀から19世紀において、現代の自己啓発本に影響を与える3つのコンセプトが生まれた。

  1) 無償の愛
  2) 成長のために行動を変えること
  3) プラス思考

ベンジャミン・フランクリンは、充足へ至る道のりに関して、独自の見解を持っていた。これこそが、ベンジャミン・フランクリンをアメリカの自己啓発の父たらしめた。自伝(1788年完成)の中で13の美徳について説明している。また、毎日意識的にこれらを実行し、カレンダーに良く出来た日はチェックマークを、そうでない日は黒い印をつけて、自らの進展具合を確かめた。その他、宣言書も利用している。

  節制、沈黙、秩序、決断力、慎ましさ、勤勉さ、誠実さ、正義、節度、清廉、落ち着き、純潔、謙虚さ

人々は自分が望むとおりの人生を送っていない、人生をコントロールできていないと感じており、解決策を求めている。

自分で自分の人生を活性化させるという考えが受け入れられている。

物質的な充実に惹かれている若者も意外な読者層である。

ロンダ・バーン自身の成功こそが、ザ・シークレットの真の秘密かもしれない。

第Ⅲ章 「引き寄せの法則」は本当に効くのか?

「引き寄せの法則」にはいくつか信頼出来る側面があり、それらはプラシーボ効果、「気づき」の理論、認知療法、比較的新しいポジティブ心理学といった心理学理論において確認されている。

「求め、信じれば、手に入る」というのは、正確には「求め、信じ、行動すれば、手に入る(可能性が高まる)」ということなのであろう。

プラス思考で、癌も含む病気も治ると断言した点については、世間の怒りや疑念が向けられた。

楽観的な人は悲観的な人に比べて病気が治癒する可能性が高いことは、数々の厳密な研究から示されている。また、コメディー番組を見ることで、ナチュラルキラー細胞が活性化され、抗腫瘍作用が高まることが、数々の研究で示されていると言っている人物(フェルトン博士)もいる。
しかし、肺癌などの治りにくいとされている疾病患者については、患者の姿勢によって健康状態が好転したというケースは1件もない。

精神と肉体の結びつきが癒しにつながるという観点から、著しい発展を遂げているのがイメージ誘導法(GI)の分野である(「ザ・シークレット」では、ビジュアライゼーションと呼んでいる)。起こって欲しいことを思い描けば、実際に起こるというものである。イメージ誘導法は深いリラクゼーション状態になる手法で、伝統的な医療保険の専門家からも広く受け入れられている。そして、信頼に足る数多くの研究において、心の中の想像と治療の進行は関連性があるということが証明されている。イメージ誘導法では、セラピストの指導のもと、患者は深いリラクゼーション状態(=アルファ波状態)に入るために使うイメージを特定する。素人が勝手に行えるものではなく、実践者の大半が、「ある程度の練習と訓練が必要だ」と口を揃える(但し、自主的にイメージ誘導法のテープを聴くのは効果的)。

認知療法が、鬱状態の緩和、体重の減少、問題の解決、能力の発揮などに効果的であることは、数多くの実験で裏付けられている。認知療法は、意識的に思考を変えることで、行動も変えられることを証明してきた。但し、国際認知療法学会の会長は、ザ・シークレット式にただ願い事について考えるだけでは、セラピー的な効果はほとんどないと言っている。

「引き寄せの法則」に賛同し、プラス思考がプラスのことを引き寄せると心から信じる人のほうが、自分の可能性を信じない悲観的な人よりは、自己実現に至る可能性は高いといえるだろう。

結局のところ、効果があるという人にとっては、効果があるのだろう。

人生をよりよくするための秘訣
  1) 自分の欠点を受け入れる
  2) プラス思考ではなく、楽観的な視点をもつようにする
  3) 妄想に溺れず、現実を見る
  4) 自分の手の中にあるものに感謝する
  5) 人や状況に前もって判断を下さない
  6) 周りで何が起こっているかに気を配る
  7) 身の丈にあった夢をもち、その実現のために行動する
  8) 肩の力を抜く
  9) 社会とのつながりをもつ
 10) 自分にも他人にも配慮する
 11) 笑顔を忘れない

第2部 『ザ・シークレット』の背後に潜むもの

第Ⅳ章 『ザ・シークレット』登場者たちの半生

・ウォレス・ワトルズ(1860年生まれ)

『富を手にする「ただひとつ」の法則』の人気の高さに反して、ほとんど知られていない。キリスト教社会主義に出会った後、ニュー・ソート運動にのめり込む。

  ニュー・ソート運動の生みの親はフィニアス・パークハースト・クインビー (1802年生まれ)。クインビーとその支持者たちは、18世紀の科学者及び哲学者のエマニュエル・スウェーデンボルグの影響を受けていた。

・チャールズ・ハーネル(1866-1949)

 ザ・シークレットの中で、ロンダ・バーンは、昔は多額のお金を出さなければ「引き寄せの法則」の情報を手に入れられなかったといっているが、これはチャールズ・ハーネルの「ザ・マスター・キー」のことを指している。当時としては1,500ドルというのは膨大な額であった。24週間にわたる成功のためのプログラム。今では本も手に入るし、インターネットの無料サイトもある。

・ジュネビエーブ・ベーレン(1881-1960)
・ロバート・コリエー(1885-1950)
・プレンティス・マルフォード(1834-1891)

第Ⅴ章 科学と『ザ・シークレット』

物理学の概念や科学者の見解の相違は、大きく複雑。

しかし、考えるだけで車や現金や宝石やセクシーな恋人が現れるという現象と科学は無関係であるという点では意見は一致している。

第Ⅵ章 『ザ・シークレット』の宗教的ルーツ

・キリスト教の本当の引き寄せ
・ユダヤ教:世界を変える力
・仏教の教えの歪曲
・宗教における癒しの手
  キリスト教科学

第3部 偉人たちは「シークレット」を知っていたのか?

第Ⅶ章 偉人たちの「本当の秘密」
    ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベン、ウィリアム・シェイクスピア、ラルフ・ワルド・エマーソン

第Ⅷ章 世紀を変えた男たち、その「知の秘密」
    トーマス・エジソン、ウィンストン・チャーチル、アルベルト・アインシュタイン

第Ⅸ章 財を成した「ビジネスの秘密」
    アンドリュー・カーネギー、ウィリアム・クレメント・ストーン、ヘンリー・フォード

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 『ザ・シークレット』旅のおわりに

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