大暴落1929
大暴落1929
ジョン・K・ガルブレイス
THE GREAT CRASH 1929 / JOHN K.GALBRAITH
サブプライム問題の後に購入した本である。帯にも「バブル崩壊、株価暴落のあとに必ず読まれる、恐慌論の名著。」とある。
著者であるジョン・ケネス・ガルブレイスについては、wikiを参考にすると良いだろう。「経済学の巨人」と評されるハーバード大学名誉教授である。
2016年年初から株価と為替の変動が激しい。日本においては、日銀がマイナス金利を導入し、日本経済は前代未聞の事態に戸惑っているようにも見える。
マイナス金利は不動産価格を上昇させる傾向にあるが、マイナス金利適用前の不動産価格はすでにかなりの上昇が見られており、サブプライム前の水準を超え、ピークアウトしているとの声が多かった。キャップレートは史上最高水準まで下がっている。
しかし、日経新聞は2016年2月21日付の朝刊で「地価の急騰や取引量の急拡大という過熱感はまだないが、マイナス金利政策などの刺激策が長引けば局所的にバブルを生み出す懸念もある。」と書いており、まだ過熱感はないという見方をしている。但し「きょうのことば」として「不動産バブル 崩壊するまで気づきにくく」とあったのは、エクスキューズなのだろうか。
本書は1955年に初版が発売された。いわば古典である。しかし、「バブル」と称される経済クラッシュは繰り返され、そのたびごとに本書が読まれているということだろう。そして、今再び読まれる時期が到来しているのではないだろうか。
各章のタイトルは、英語の方が内容を良く表している。各章で印象に残ったセンテンスは今でも十分当てはまる。
- 第1章 夢見る投資家 Vision and Boundless Hope and Optimism
- 一旦勢いづいたブームはそう簡単にはしぼない。
- 終わりが来たことをなかなか認めようとしない点も、典型的な投機バブルのパターン
- ブームが熱を帯びてある点まで達すると、手に入れた財産がすぐに値上がりするかどうかだけに目が行き、その財産を持つことに伴う他の要素はすべて目に入らなくなる。
- 第2章 当局の立場 Something Should Be Done?
- 1929年にどうしてああいう年になったかを理解するのは簡単である。(中略)どんなブームもいつかは終わるということである。
- 第3章 ゴールドマン・サックス登場 In Goldman, Sachs We Trust
- 第4章 夢の終わり The Twilight of Illusion
- 大暴落
- (何故か、第5章だけ「第5章」と付いていない。)
- およそどんなきっかけからでも崩壊するというのが、投機ブームの性質だからである。
- 第6章 事態の悪化 Things Become More Serious
- 最悪の事態がじつは最悪ではなく、さらに悪化し続けたことである。
- 第7章 暴落後の日々 1 Aftermath I
- 第8章 暴落後の日々 2 Aftermath II
- 第9章 原因と結果 Cause and Consequence
- 大暴落に続いて大恐慌がやって来た。それは、年によってひどくなったり和らいだりしながらも、10年続いた。