これからパンローリングの投資本を読む人へ

2012/09/14

これからパンローリングの投資本を読む人へ:塩見努

本書は株式投資等を行う前に持つべきベーシックな心構えを書いてある。出版元のパン・ローリング社のサイトから本書の一部をPDFを読むことが出来る。

パン・ローリングは、主に株や商品先物関連の翻訳書・解説書を発行していることで有名な会社である。良い本が多いのだが専門書ということもあって、ハード・カバーの価格の高い本が多い。しかし、本書は文庫本であり、リーズナブルである。

通常は帯や表紙裏などを紹介するのだが、書いてあるワーディングがあまりピンと来なかったので載せていない。

著者の塩見努氏のホームページによると、「2011年パンローリング社のランキング1位になりました。」とあるので、パン・ローリング社の中では売れているのだと思うが、内容が良い本なので、もう少し表紙・裏表紙や帯などのワーディングを工夫・洗練することにより、より売れる本だと思う。


目次メモ

  • まえがき
  • はじめに
  • 第1章 投資の勉強をしよう!
    • 最低限の常識
      • 投資で簡単に勝ち続ける方法はなく、最終的に自分で道を切り開いて行かなければならない。
      • 「投資力」をつけるには修業期間が必要であり、じっくり腰を据えて取り組まなければならない。
    • 答えだけ求めても無駄
      • 投資で長期間勝つためには「「心理」「手法」「資金管理」の3つ(=「脳ポートフォリオ」)を自力で構築しなければならない。
    • 相場は3K
      • 相場は「怖い」「困難」「危険」の3K
    • 脳ポートフォリオの構築
      • 投資関連書籍で圧倒的に多くを占めているのは「手法」に関することであるが、投資経験を重ねていくほどに重要になってくるのは「心理」で、その心理を本当に理解していけば(資産を効率的に増やすための)「資金管理」の工夫が重要となってくる。
    • 投資の熟練度
    • 万年初級者の典型
    • まずは自覚から
    • 中級に進むためには
    • 天才でさえ努力している
    • 投資本の読み方
    • 情報商材
    • 修行期間
      • 修業期間のひとつの目安
        • 投資経験5年
        • 投資本50冊
        • 売買経験500回
    • 真贋を見抜くのは自分
  • 第2章 売買ルールをつくろう!
    • 相場の分析法
    • ファンダメンタル分析
    • 材料に振り回されるな
    • テクニカル分析
    • 相場の局面
    • パターン分析
      • さまざまな前提条件や数値設定から検証して、そのパターンやテクニカル指標に「優位性=エッジ」があるかを確認することが重要。
      • こうしたエッジを利用した仕掛けのルール、そのエッジの効果を最大限に発揮させるための手仕舞いのルールや資金管理のルールが揃うことで、ひとつの売買戦略が出来上がる。
    • 勝率
    • ペイオフレシオ
      • 勝率だけでなく、買った時の利益と負けた時の損失の比率=ペイオフレシオを考慮しなければならない。
      • 相場で資産を増やすために、勝率は最大の問題ではない。しかし、目の前で自分の資産が増加するので、このことに耐えられるだけのメンタルの強さが求められる。
    • 期待値
    • 短期売買の種類
      • スキャルピング=日中のわずかな値動きを狙って、売買を繰り返す。
      • デイトレード=日中の値動きを狙って、当日中に売買を終わらせる。
      • スイングトレード=2~3日単位の振れ幅を狙う。
      • トレンドフォロー=数週間~数カ月単位の大きな値動きに乗る。
    • 私の売買方針
    • 大数の法則
      • 売買手法の研究には、過去データの収集→アイディア→検証→さらなるアイディア→検証と何度も繰り返す。
      • 膨大な時間と労力がかかる。
  • 第3章 投資家心理と資金管理
    • 売買に時間をかけない
      • 売買を実践する際、多くの人は緊張や恐怖、根拠のない希望的観測で判断がブレやすくなる。そのため、全てを前もって決めておき、それを絶対に守ることで、売買という作業に感情が入り込む余地を作らないようにする。
      • ポジションを抱える前と後の心理は大きく異なってくる。また、含み損が出た場合は、激しい葛藤をもたらす。
      • いかに自制心を強め、規律を維持するか、それは中級を目指す投資家にとって大きな課題となる。そのためにも準備に時間をかけ、経験的に自分の心理を客観的にとらえられるようになることで自信を持つことが重要である。
    • なぜ入口ばかりに注目するのか
      • 仕掛けのタイミングに目が向けがちだが、結果をさらに大きく左右するのは手仕舞いのタイミングである。
    • 投資は商売
      • 投資も商売と同様、自己の脳ポートフォリオと日々のデータを管理することにより、戦略が変化してくる。しかし、それは「売買の外」でやる必要がある。売買の実践中は規律を守ることが重要。
    • ワインから投資を考える
    • 見えているものが違う
    • 長期的に安定した成績
    • 大きな目標からその場での戦い方を逆算する
    • ゾーン
    • 潜在意識
      • 人間は必ずしも合理的に行動しない。むしろ感情的に行動しやすいと言える。特に集団でパニックや陶酔感に陥ったときは、その傾向が強くなる。
      • 感情のおもむくままに行動すると、相場では損することになっている。
      • 自分の心をコントロールできるようになることは、投資家として生き残るため、非常に大切な要素である。
    • 初級者は群れを好む
    • 普通に行動すると損大利小
      • 2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンと、エイモス・トベルスキーの「プロスペクト理論」は、非常に興味深いものである。人は利益がでている局面と損が出ている局面で、リスクのとり方がいかに異なるか、それが売買の意思決定にどのような影響がでているかを理解できる。
      • 初級者は、ポジションに利が乗ると、さらに利益を求めるよりも、目先の利益を確定することを好む。逆に、含み損が出ると、損失を確定するよりも、さらにリスクを冒すことで、損失を縮小しようとする。結果、資産を減らしてしまう。
    • 感情のサイクル
    • リファレンスポイント
    • 初頭効果と親近効果
    • 心の会計
    • 損切りの効用
      • 損切りに絶対的なタイミングはない。資金量や投資戦略、リスク許容度によって、タイミングが異なる。
      • 損切りを自分で決められないような人は、投資はすべきでない。
      • 一度決めた損切りポイントを決して動かしてはいけない。
    • 損切りの思考
      • 「負け方」の習得は、修業期間の中で一番重要な項目といっても過言でない。
      • 投資を長期で継続して行なっていくには、全ての投資で勝つ必要はなく、勝ち負けを繰り返しながら、結果的に資産が増えていれば良い。
    • ナンピンと分割売買
      • ナンピンはすすめない。
      • 前もって売買ルールの中に、2回もしくは3回に分けて仕掛けるルールがあり、しかも損切りポイントと最大許容度を決めていること(=分割売買)は問題ない。
      • 分割売買がナンピンと異なることは「計画性」があること。
    • 利食いの目安
      • 利食いの方法は様々。
      • トレイリングストップも多くの投資家が利用している。
    • 復活は大変
    • 投資を長期で継続するために
      • 投資と一定の距離を置くことが重要。
        • ポジションが気にならないこと。
      • 作者の例:「2人の私」を使い分けている⇒機械的な人間を作る
        • 1人はデータ収集、データ精査、売買アイデア検証、売買ルール作成、システム構築など≒技術者・・・9割の時間を費やす
        • もう1人は投資を淡々と実行し、入力作業や売買結果などを自分の相場ノートにつけていく≒執行者・・・1割の時間を費やす
      • ポジションの大きさ(ポジションサイズ)も重要
      • 十分な売買回数と売買年数を経験するまでは、小さすぎるくらいのポジションサイズを勧める。
    • 自分の出番を待つ
      • 投資で待ち伏せする戦術の1例:デイトレードで有名な戦術OOPS(ラリー・ウィリアムズ)
        • 前日の安値よりも安い価格で始まり、前日の安値を上抜いたら買い
        • 前日の高値よりも高い価格で始まり、前日の高値を下回れば売り
    • 職人気質
    • 成功者の性格
      • 投資に向いている人に共通する性格
      • 「慎重」
        • 積極的に耳を傾け、情報を収集するが、決して鵜呑みにしない。
      • 「謙虚」
        • 自分の投資方法を自慢しない。但し、自分の個性にあった投資方法を知っているため、「謙虚」であると同時に「自信」がある。
      • 「素直」
        • トレンドに素直に乗り、揉み合いでは素直に様子を見る。相場観の誤りが認められれば、素直に損切りをする。
      • 「素直」
  • 第4章 人生計画と投資スタイル
    • 人生計画
    • アセットアロケーション
    • 修行期間と投資期間
    • 積極投資に適当な額
      • 「全くの初心者」は、少なくとも投資額の10%未満に抑える。
      • 最小単位で売買をする。
      • 最初の3年ぐらいは試行錯誤の時期と考えるぐらいでちょうど良い。
      • 経験値を積むためになるべく売買数をこなすことが最大の目標。
      • 途中で資金切れとなってゲームオーバーとならないようにする。
      • なるべく手書きで日記をつける。
    • ポートフォリオ
    • ポートフォリオと投資スタイル
    • ポートフォリオとヘッジファンド
    • 空売り
    • 戦術の分散
      • ポートフォリオの効果は、アセットアロケーションで発揮されるだけではない。
      • 「戦術ポートフォリオ」
      • 何か1つだけの戦術で戦い続けることは危険である。
      • 複数の戦術や市場で分散させたポートフォリオを作る「戦略」を構築していくことが理想。
    • 比較整理
    • 相性の良い投資手法と金融商品
    • 投資を学ぶのに適した金融商品
      • 積極投資を始めるとしたら何が良いか。
        • 個別株
        • ETF
        • 信用取引
        • FX
        • 日経255先物ミニ
      • シンプルな商品
    • 投資信託の注意点
    • 分配型の投資信託に注意
    • 積立投資
    • 積立貯蓄
    • 個人年金保険
    • 株主優待
    • これから投資の修行を始める前に
      • 下記の質問に具体的に文字で回答する。
        • 質問1:あなたは何のために積極投資するのですか?
        • 質問2:あなたはどのくらいの期間、積極投資を続けるつもりですか?
        • 質問3:最終的にいくらにまで増やそうとかんがえていますか?
        • 質問4:どのようになったら売買を仕掛けますか?
        • 質問5:どのようになったら売買を手仕舞いますか?
        • 質問6:先ほど答えた投資期間と目標金額を達成させるために、いくらの資金をどのようなタイミングで投入していきますか?
        • 質問7:1回の売買に、いくらの金額を投資しますか?
        • 質問8:買ったときも負けたときも平常心でいるためにどうしますか?
  • さいごに
  • 付録 私にとっての投資金言集

 

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